ロスト・ラブ
「ありがとう、胡桃。でも大丈夫だよ」
「でも、」
「私の家と胡桃の家は反対方向でしょう?胡桃の帰りが遅くなるほうが私は心配なの。ね?お願い」
心配の色が消えない胡桃の目を見て、ニコリと笑ってみせた。
これ以上、大事な親友である胡桃に迷惑はかけたくないの。
それに、私を送ったことで胡桃に万が一のことがあったら……。その時は本気でどうにかなってしまうだろうから。
ギュッと私も手を握り返す。
口をキュッと結んで不満げながらに了承してくれた胡桃の頭をポンと撫でた。
一緒に教室にカバンを取りに行って、そのまま玄関へと向かう。