ロスト・ラブ
突然のこと過ぎて頭が追い付いていない。
なんで?なんでいるの?
頭の中でぐるぐる考えながらも、足は颯太の後ろを付いていく。
あんなところで立って……もしかして、待っててくれた?
そんなにわかに信じられない想像もしてみたけれど、答えが出るわけもなくて。
「ね、ねぇ……!」
無言でスタスタと歩いていく颯太の背中に、思い切って声をかけてみた。
「なんだよ」
こちらを振り返ることはないけれど、返事はくれる。
心なしか歩くスピードがゆっくりになった気がした。
「なんでまだ帰ってなかったの?」
「別に。友達と喋ってただけだけど」
「あんなところで?」
「………」
颯太からの言葉はそれ以上来なくなった。