ロスト・ラブ
そうだ。なんで気づかなかったんだろう。
「ねぇ、颯太」
「んだよ、今俺が話して……」
「私が倒れたことに対して、何も思わなかったの?」
「っ、」
私がそう聞くと、ピタリと颯太の足が止まった。
さっきまで一度も私の方を見なかったのに、今初めてその視線が私へと向けられる。
……っ。
その瞳が、大きく見開かれているのを見て、私も思わず足を止めた。
「え……、なにその反応」
「あ、いや、」
ふいっとすぐに視線をずらされて、私の頭の中は大混乱。
……もしかして、なにか知ってるの?
そんな考えが浮かんできてしまって、ドクン、と心臓が嫌な音を立てる。