ロスト・ラブ
だって、おかしいもん。
"男嫌い"の私が男子に腕を掴まれたくらいで倒れるだなんて、どう考えても変だ。
私が"男嫌い"じゃなくて"恐怖症"なのを知ってる胡桃は、私が倒れた理由も理解できるから泣きながら心配してくれたけど。
普通、男嫌いくらいなら、さすがに気を失ったりしない。
「もしかして───、」
───私が恐怖症だってこと、知ってる……?
そこまで出かけた言葉は、声に出すことなく飲み込んだ。
……言えない。無理だ。
「もしかして、なに?」
「……ううん、なんでもない」
顔をしかめた颯太は、きっと何か思ってる。
けど、これ以上聞けなかった。