ロスト・ラブ


「おばさん、俺がいたから大丈夫だよ」


そう言った颯太の表情は、ここからじゃわからない。


けれど、颯太のその言葉に、お母さんは安心した表情を見せた。


……なに、どういうこと……?

おかげでお母さんが取り乱すことはなくて正直助かったは助かったけど。


「そう……」

「じゃーな、茜」

「っ!」


その会話の意味が知りたくて颯太の名前を呼ぼうとしたのに、振り返った颯太の表情を見て何も言えなくなってしまった。



……なに、その顔。


なんでそんな……優しい顔で笑うの。


目の前にお母さんがいるからなのはなんとなくわかるけど。

でも、それでも。


そんな顔、ずっと私に見せなかったくせに……。


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