ロスト・ラブ


───あの日は、連日続いていた雨がようやく止んだ、久しぶりの晴れの日だった。



いつも通りクラスの友達と授業を受けて、楽しくみんなでお弁当を食べて。

すっかり嫌われたであろう好きな人に、勇気を出して話しかけてみたりもした。


「颯太、一緒に帰ろうよ」


中学に入学してから2か月。

小学校までは普通だったのに、入学してから急に態度が冷たくなってしまった颯太に、私は心底拗ねていた。


理由はなんとなくわかっている。

入学初日。颯太が、同じ小学校だった男子に、私とまだ一緒にいるのかとからかわれていたのを見たから。


それにしたって、私になんの相談もなく避けるなんてあまりにもひどすぎる。


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