ロスト・ラブ
そのあと教室内がどうなったかなんて知らない。
ただ、悔しくて、悲しくて、辛くて。
涙なんてボロボロ止まることなくこぼれてきて、誰にも見られないように必死に下を向いて走った。
下駄箱に適当に上靴を押し込んで、また走る。
下校している生徒が周りにたくさんいたから、人のいないところを通ってやっぱりひたすら走った。
……あれ、なんでこんなに走ってるんだっけ。
そう思う頃には、だいぶ遠くまで来ていた。
息が苦しい。足がふらふらする。
運動できないくせに、こんなに走ったらそりゃ体力は限界なはずだ。
「……颯太のバカ」
なんとなく声に出して悪態をついてみると、胸がすごくムカムカする。
と同時に、やっぱり涙があふれた。
「ずっと、好き、だったんだよ……」
そんな言葉、本人に言えるわけもない。