ロスト・ラブ


「だめだよ。可愛い子が、こんな時間にこんな公園で一人でいたら」


誰かに襲われちゃうよ?なんて、そんな頭のおかしいセリフも、言葉の意味をまともに理解してる余裕もなかった。



いや……っ、誰か、助けて……!


頭の中でそう叫んだところで、本当に声を出さないと聞こえるわけもない。


恐怖で涙がじんわりと浮かんできて、そんな私に男がクスクスと笑った。


「震えちゃって。しかも泣いてるの?可愛いね、お嬢ちゃん」


いまだに掴まれた手首は、やっぱりビクともしない。


もう片方の手がお腹にするりと触れて、気が遠くなりそうだった。


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