ロスト・ラブ


完全なる事件。警察沙汰。


すぐに噂が広まりそうなところを、お母さんが必死になって大事にしないでと警察の人に頭を下げたらしい。


実際のその記憶は抜けていた。

ぜんぶぜんぶ、後から教えてもらった話。



それから約9か月。

1年生で過ごす時間のほとんどを、私は家の中だけで過ごした。


もちろん、学校にも行けなかった。


勇気を出して何回か行ってみたけど、それまで変わらずに話していたはずの男子のクラスメイトも、優しくしてくれた男の先生も、みんな怖くてたまらなくなっていた。


「……随分学校サボってたな」

「っ、そ、うた」



────そしてそれは、好きな人も例外ではなかった。



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