恋かもしれない
「お気に入りに入れてるブログに、ここで購入したカップが載せられていたんです。素敵だな、と思ってショップを見たんですけどほとんど売れ切れていて。それで、お店にならあるかな?って、彼に無理言って連れて来てもらったんです」

ね、亮介?と言って彼を見上げる彼女に対して、場所を探すのが大変だったぞと彼が受け合う。

大変だったと言いつつ、ちっともそう見えないのは、やっぱり愛情があるからなんだろうな。

「あの、サンキャッチャーをお出ししました。どうぞ」

会話が途切れたところをチャンスにし、トレイを差し出すと、彼女の笑顔が強くなった。

彼女が手に取って窓際で日にかざすと、キラキラと輝く虹色の光りが店の中にぱーっと広がる。

「うわぁ、ブログで見たよりも、ずーっと綺麗」

「お手にしてる物は、スワロフスキーのシャンデリアパーツを使用しておりますので、大変光りを放つんですよ」

美也子さんが説明すると、彼女はトレイにある方を指差して、それとは違うんですか?と訊ねた。

「はい。こちらは水晶をカットしたもので、同じ様な光を放ちます。でもこれは石自体にパワーがありまして良い気を呼び込む効果もありますが、同時に気を拡散する役目もあります。なので、飾る場所を選んでしまいます。すべての気の入口である玄関に飾るのはオススメ出来ません。悪い気と一緒に良い気を跳ね返してしまうかもしれませんので」

そう美也子さんが説明すると、彼女は「亮介ちょっと待ってて」と彼から離れて美也子さんと店の隅に行って、何かを小声で訊ねている。

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