恋かもしれない
「お風呂、入ろう」

お風呂から上がってすぐにスマホを確認する。けれど期待に外れて画面には何の変化もなかった。

「松崎さん、どうしてるのかな。スマホ見る暇もないのかな。今何をしてるのかな」

なんか、寂しい。

そうか、このモヤモヤは寂しさなのか。

私にとって松崎さんとのラインは、既に日常の一部になっているんだ。

たった一日連絡がないだけでこうだなんて、もしもこのまま既読も返事もなくて放っておかれたら、私はどうなるのかな。

「あ、ダメだ」

ふかーい海の底に沈んでいきそうな気持ちを上げないと、このままで眠ったら悪い夢を見てしまいそうだ。

それから暫くの間、可愛い猫が出てくる動画を検索して、過ごした。

そして十二時を過ぎ。

ベッドに入ってまどろみはじめた頃、何かが振動している音が聞こえてきた。

定期的なリズムの振動はぜんぜん鳴り止まない。

「あ! まさか電話!?」

がばっと起きて、充電器を刺してあるスマホを見ると、画面がぴかーと光っていて一気に目が覚めた。

「ヤダヤダ待って。こんな遅くに誰? や、松崎さん!?」

慌てて部屋の電気を点けて、通話を選んで出ると、低めの声が耳をくすぐった。

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