恋かもしれない
***
『Lapin noir』のお昼時間。食後の珈琲を飲みながら窓の外をぼんやりと眺める。
昨夜の雨が嘘のように晴れた空。
濡れた庭の草花や木に日が当たって、つやつやと光っててすごく綺麗だ。
青く澄んだ空に緑のコントラストがいい感じで、爽やかだなあと思う。
「……ヤッソークナデイ、か」
「え、奈っちゃん。今〝Jag saknar dig〟って言ったの?」
「へ?」
すごくいい発音が聞こえてぱっと振り向けば、美也子さんが意外だなあと言って目を丸くしていた。
「うそ、私、今声に出していましたか?」
「出てたわよ~、しっかり。やだ奈っちゃん、無意識なの? ね、それ何処で聞いたの?」
「家です。すごく印象深くて。それって、どんな意味なんですか?」
「ヤッ・ソークナ・デイ。〝あなたに会いたい〟とか〝恋しい〟という意味」
「こ、こ、こ、恋しいぃっ?」
「そう。スウェーデンでは、会ってない友人とか、恋人に向けて言うの。わりと頻繁に使う言葉で、私もバイヤーに言うときあるし、使う人によって意味が違うの。でもそうね〝恋しい〟って、日本語にするとドキっとしちゃうわね?」
「はい……」
にこーっと笑う美也子さんに、私も曖昧な笑顔を返す。
ヤッソークナデイ、会いたい。
松崎さんも友人に向けるような、気軽な気持ちで言ったのかな……。
『Lapin noir』のお昼時間。食後の珈琲を飲みながら窓の外をぼんやりと眺める。
昨夜の雨が嘘のように晴れた空。
濡れた庭の草花や木に日が当たって、つやつやと光っててすごく綺麗だ。
青く澄んだ空に緑のコントラストがいい感じで、爽やかだなあと思う。
「……ヤッソークナデイ、か」
「え、奈っちゃん。今〝Jag saknar dig〟って言ったの?」
「へ?」
すごくいい発音が聞こえてぱっと振り向けば、美也子さんが意外だなあと言って目を丸くしていた。
「うそ、私、今声に出していましたか?」
「出てたわよ~、しっかり。やだ奈っちゃん、無意識なの? ね、それ何処で聞いたの?」
「家です。すごく印象深くて。それって、どんな意味なんですか?」
「ヤッ・ソークナ・デイ。〝あなたに会いたい〟とか〝恋しい〟という意味」
「こ、こ、こ、恋しいぃっ?」
「そう。スウェーデンでは、会ってない友人とか、恋人に向けて言うの。わりと頻繁に使う言葉で、私もバイヤーに言うときあるし、使う人によって意味が違うの。でもそうね〝恋しい〟って、日本語にするとドキっとしちゃうわね?」
「はい……」
にこーっと笑う美也子さんに、私も曖昧な笑顔を返す。
ヤッソークナデイ、会いたい。
松崎さんも友人に向けるような、気軽な気持ちで言ったのかな……。