恋かもしれない
再び電子音が鳴って焼けたのを全部平たい網の上に放置して、後片付けをしながらお昼ご飯を作って軽く食べる。

食べ終わってメイクして身支度を整えた頃には、ジンジャークッキーはいい具合に冷めていた。もう袋に入れても大丈夫だ。

そろそろ約束の時間で、多分もうすぐ松崎さんが来る。早く準備しないと。

「えーっと、どのくらい入れたらいいのかな? それに、ハートをどうしよう?」

ただの友達と言っていいのか、知り合いだけれど、ハートを入れてもかまわないのだろうか。

ぱっと開けたときにハートがあったら、引かれる? 恋人でもないのにって。

「で、でも深い意味はないし。ほら、ハートばかりじゃないし……バレンタインじゃないし……だから、あってもいいよね?」

ハートは入れたいのだ。この型抜きもハート入りだから買ったんだから。

暫く悩んだ末に各種二個ずつ入れることに決めた。

焼き具合がいいのを選んで、水色の花模様がオトナかわいいラッピング袋に入れて、針金入りの青色のリボンで留めれば。

「出来た~!」

お揃いの紙袋に入れて準備万端、あとは渡すだけだ。

と、ここまでしておいて大変なことに気が付いた。

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