恋かもしれない
「いつ、渡せばいいの??」

そうだ。渡すときの言葉も考えていない。最初がいいの? 最後? それとも途中?

「え、え、どうすれば」

あわあわとスマホを弄っていると玄関のチャイムが鳴って、心臓が跳ね上がってスマホを投げそうになった。

気を取り直してスコープを見ると、男性が一人立っている。松崎さんだ。

急いでスマホを鞄に入れてプレゼントを持って外に出た。

シンプルな白いシャツにジーンズの爽やかスタイルで、これまた爽やかに笑う松崎さんが目に眩しい。

「綾瀬さん、こんにちは」

「は、い、こんにちは」

「じゃ、行きましょうか」

松崎さんの後をついて階段を下りて黒い車に乗り込むとすぐに走りだした。

静かな車内でバラードみたいなテンポの洋楽が流れる。

どこに行くのかな。それに、プレゼントをいつ渡そう。

今は……ダメだよね。
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