恋かもしれない
ラインを開いて文字を打とうとしたら、外から、バーン!! と大きな音が聞こえて来て、部屋の壁や戸がビリビリビリと揺れた。

「な、かみなり?」

再び、ダーン!! と音がして、男性の怒鳴るような声も聞こえてきた。

「な、な、なに? なんの音なの」

スマホを握り締めて壁際まで後ずさりをする。

壁に体をくっつけて、身を護るようにぎゅっと丸くなった。

「や、どこから聞こえてくるの?」

ドン! ドン! 断続的に音がするたび、共鳴して部屋がミシミシ揺れる。

下? 隣? どこ?

男性の喚く声に次いで女性の叫んでいる声も聞こえてきて、ザーッと血が下がって体が一気に冷たくなった。

「や、いや、やめて、やめて、だめっ」

女性の泣き叫ぶ声。

男性の怒鳴り声。

ドンドンと響きわたる音。

全部が止まない。

< 159 / 210 >

この作品をシェア

pagetop