恋かもしれない
「私、男運が悪いんですよね。変な人ばかり好きになっちゃうんです。不倫もしたことがあって、好きになっちゃダメって分かってるのに、どうにも想いが止められなくて、結局抱かれて……その繰り返しで、全然成長しないんです」

私ってダメだなあって呟いた後、キョトンとした顔で私を見た。

「あれ? 私、何でこんなに喋ってるんだろう。すみません、なんだかあなたに話しやすくて……誰かに、話を聞いて欲しかったのかもしれないな」

「構わないです。愚痴なら、いつでも零しに来てください。この時間なら、大抵家にいますから」

「ありがとう。あなた優しいんですね。もっと早くあなたと知り合ってれば、もう少し違った結末になっていたかなあ」

香川さんはそう言って哀しそうな笑顔を見せた。

もしかしたら、まだ彼のことが好きなのかもしれない。

香川さんは、本当にご迷惑をおかけしましたと言って再び頭を下げて、隣の部屋に向かった。

好きになっちゃダメって分かっていても想いが止められない、か。

お母さんもそうだったのかな。

暴力があってもお父さんが好きだったから、限界までそばにいたのかな。

恋愛って、難しい。
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