恋かもしれない
土曜の朝九時、Lサポート相談ルームの中。

私は今、佐藤さんに、岩田さんと会って感じたことを伝えている。

最初笑顔だった佐藤さんは、話していくうちに細い眉が下がっていって、話し終えると丸っこい顔を歪めて腕を組み、頭をカクンと傾けてしまった。

「そうですか~。じゃあ綾瀬さんとしては、岩田さんは一生のパートナーとして考えにくいということなんですね?」

「はい。私を、見てほしいんです。上手く言えないんですけど、岩田さんは違うというか、合わない気がします」

ずっと憧れている恋はもっと燃え上がるもので、夢見ている恋人はもっと違う。

『自分を癒す』じゃなくて『お互いに癒しあう』と考えてくれる人がいい。

良いところも悪いところも、私のことをまるごと受け止めてくれる人がいい。

そして、私もそうしたいと思える人がいい。

「だから、正式にお断りしようと、思うんです」

「でもね、綾瀬さん。少し早計じゃないかしら? 会ったのはまだ二回ですよ。もっとデートを重ねていけば、きっと、岩田さんの違った面が見えてきます。岩田さんもまだ緊張していて、うまく自分が出せていないんですよ。せっかく赤い糸の縁ができそうですのに、勿体無いです! もう少し続けることをオススメします! お二人はとってもお似合いですのに~」

佐藤さんは身をよじるようにして、残念そうに言う。
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