恋かもしれない
私が言い終わらないうちに、「え!?」と驚きの声を上げながらいそいそと自席に戻った佐藤さんは、パソコンに向かった。

「どなたですか? よろしければお名前教えてください!」

急に生き生きとし始めた佐藤さんの様子に戸惑いつつも、松崎さんの名前を告げると、早速キーボードを叩き始めた。

「会員さんなら、正式に申し込むことができます! 会員同士でしたらなるべくLサポートを通してください。今現在お知り合いなら、お見合いも省けますしね。あちらの担当アドバイザーに連絡をとって、今の紹介状況を確認しましょうか?」

松崎さんの紹介状況は、まさに私が知りたかったことで、本人に直接聞けないことだ。お願いしますと言おうと息を吸いこんだら、佐藤さんが「あら?」と声を出した。

マウスをカチカチさせて、しきりに首を捻っている。

「どうかしたんですか?」

「検索ヒットしないんです。お名前間違いないですか?」

「はい。確かに」

佐藤さんは「まさかこっちにある?」とぶつぶつ言いながらパソコンを操作して、間もなく「あ!」と声を上げた。

「ありましたよ、綾瀬さん。ですが、残念、既に退会されています。クルージングパーティのすぐあとですね」

「え、すぐあとって、それは間違いないんですか?」

本をいただいた日には、そんなことは一言も言っていなかったのに、退会したのはあの後すぐのことなの?
< 184 / 210 >

この作品をシェア

pagetop