恋かもしれない
***
午後三時の事務所内。
パソコンに向かっていると、美也子さんが北欧のバイヤーと話すスウェーデン語が耳に入ってくる。
以前に比べて何を話しているのか少し分かるようになってきた。
松崎さんのおかげで理解できるようになったんだ。
「松崎さん」
つい名前を呟いてしまって、自分でハッとする。
想わないようにしているのに、姿や声を思い出してしまう。
自分からレッスンを断ったのに、もしかしたらって、ラインと本を開いて待ってしまって、昨夜は随分自己嫌悪に陥った。
それで眠れなくて何度もスマホを手にして、松崎さんから最後にもらった北本先生の携帯番号が書かれた吹き出しをじっと見たりして。
それでアプリ自体を消そうと思ったけれど、それも出来なくて。
こんなに重症だなんて、本当に困る。
世の女子たちは、失恋の傷をどうやって癒しているの。
どうやって、好きな人を忘れているのかな。
通話を終えた美也子さんが私を見てギョッとした。
「やだ、奈っちゃんどうしたの? 何で泣いているの?」
「へ? あ、なんでもないです。目にゴミが入って、痛くて、すみません。目を洗ってきます」
午後三時の事務所内。
パソコンに向かっていると、美也子さんが北欧のバイヤーと話すスウェーデン語が耳に入ってくる。
以前に比べて何を話しているのか少し分かるようになってきた。
松崎さんのおかげで理解できるようになったんだ。
「松崎さん」
つい名前を呟いてしまって、自分でハッとする。
想わないようにしているのに、姿や声を思い出してしまう。
自分からレッスンを断ったのに、もしかしたらって、ラインと本を開いて待ってしまって、昨夜は随分自己嫌悪に陥った。
それで眠れなくて何度もスマホを手にして、松崎さんから最後にもらった北本先生の携帯番号が書かれた吹き出しをじっと見たりして。
それでアプリ自体を消そうと思ったけれど、それも出来なくて。
こんなに重症だなんて、本当に困る。
世の女子たちは、失恋の傷をどうやって癒しているの。
どうやって、好きな人を忘れているのかな。
通話を終えた美也子さんが私を見てギョッとした。
「やだ、奈っちゃんどうしたの? 何で泣いているの?」
「へ? あ、なんでもないです。目にゴミが入って、痛くて、すみません。目を洗ってきます」