恋かもしれない
そして定時が過ぎて、美也子さんの家のダイニングでランチの時のように向かい合って座った。

「はい。奈っちゃん、どうぞ」

テーブルに置かれたカップからは、アールグレイの香りが漂ってきた。

「いただきます」

お砂糖たっぷりのあたたかい紅茶を飲むと、少し気持ちが落ち着いた。

「ね、奈っちゃん、話してみて。何があったの？」

美也子さんはとても心配そうで、私も話を聞いて欲しいと思える。

誰かに聞いて欲しい。香川さんの言葉が、身にしみて分かった。

いただいた本がスウェーデン語のテキストで、松崎さんに教えてもらっていること。松崎さんに恋しているって自覚したこと。

でも彼には好きな人がいてお付き合いしているらしいこと。来月スウェーデンに行ってしまうから、レッスンをお休みにしたこと。

それらを順を追って説明した。

「どうやったら、忘れられるんでしょうか」

美也子さんはふわりと笑って、隣の席に移動してきた。

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