恋かもしれない
「奈っちゃん。それ、全然、失恋してないわよ?」

「それって、どういうことですか?」

「松崎さん自身が、彼女がいるって言ったの?」

「一生懸命で素敵な人がいるって言ってました。それに、とても親しい感じの綺麗な人がいるんです。名前で呼んだり、してるんです」

「そうか。う~ん、それでも失恋したとは考えにくいなあ。逆じゃないかしら」

「逆?」

「前に、よく松崎さんのことが話題になるって言ったでしょ。奈っちゃんに話していいかどうか少し迷うんだけど。こんなエピソードがあるの」

美也子さんはアールグレイを一口飲んで、話し始めた。

「主人たちの最近の仕事で、結婚相談所がクライアントにあったの」

「え? その結婚相談所って、どこのですか?」

「私は、名前までは知らないの。それでね、そこのコンサルティングを続けているうちに、顧客満足度の調査をしようってことになったんですって。会員にアンケートをしようと検討していたんだけど、そこが目玉企画にしてる大きな婚活パーティが近々あるから、是非体験してくださいって、結婚相談所側が提案したらしいの」

結婚相談所。目玉企画の婚活パーティ。

それって、もしかして、Lサポートの?
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