恋かもしれない
***

「経営コンサルタント?」

『Lapin noir』のお昼時間。

私の質問をおうむ返しした美也子さんは、卵焼きを挟む箸をぴたりと止めた。

ぱちくりと開いた目が、私をじっと見る。

それに対して、私は、顔をぐっと近付けて真剣な目で見つめかえす。

「はい。経営コンサルティング、です」

昨日スマホを放り投げてしまって以来、不用意に触れなくて、結局検索出来ていない。

だから、私よりもずっと物知りな美也子さんならわかるかな?と、思ったのだけれど。なんだかこの感じ、知らないみたい?

「あの、どんなお仕事か、知ってますか?」

もう一度聞くと、美也子さんはニコッとして、ええ知ってるわ、と言った。

「経営コンサルタントって、わかりやすく言うなら、そうねえ、企業のお医者さんってとこかな? 依頼を受けた企業の悪いところを分析して、それに対する改善策を提案するの。人によっては、寝る間もないくらい忙しいお仕事よ」

「え!? 寝る間も? そんなに忙しいんですか!?」

「ん、ちょっとオーバーだけど、そのくらい忙しい人もいるの。訪問先への移動中もパソコン開いて書類作成したり、新しい情報を収集したり、常に頭を使ってる感じね」

「そうなんですか。すごく大変なお仕事なんですね」

「そう。でも、やりがいがあるお仕事よね。それで企業が立て直って結果がでれば達成感があるだろうし、何より嬉しいもの。しかし、奈っちゃんからそんな言葉が出るなんて、意外だったなあ。びっくりしちゃった。ね、ね、何かあった?」
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