恋かもしれない
「そう、でしょうか……?」

「そうですとも! こう言っては失礼かもしれないけど、今までは普通の会社員のお方でしたもの〝対人間スキル〟が低かったのよ。でも、学校の先生なら、違うと思いません? しかも、小学校なんですよ!」

佐藤さんは小学校の先生がどんなものかひとしきり語ると、持参したペットボトルのお茶をごくごくと飲んで、ふぅと息をついた。

それきり黙って私の様子を見ている。

小学校時代、担任だった先生たちの顔が頭の中を過る。

優しかった先生や溌剌とした先生、岩田さんはどんなタイプの先生なんだろうか。

私にも、根気よく接してくれる?

「はい、一度、会ってみます」

「そう! 良かったわ! 早速予定を組みますね。綾瀬さんは都合の悪い日はあるかしら?」
「いえ、得にないです。土日なら大抵空いてますので」

「それなら、あちらの都合を優先しても良いわね。先生って忙しい職業ですものね」

ノートパソコンを開いて何やらカタカタと入力するのを静かに見ていると、隣からダン!と、テーブルを叩くような音と男性の怒鳴る声が聞こえてきた。

「あら、やだ。トラブルかしら」

佐藤さんがキーボードを叩く手を止めて、隣の方を心配げに見る。
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