恋かもしれない
高速を下りて暫く走って着いたのは、大きなホールだった。

「アートアクアリウム?」

開催期間が来週の水曜までになっている。

期間終了間際のせいか、入口まで長い行列ができていた。

「う~ん、やっぱり混んでるな。綾瀬さんは人混み平気ですか」

「はい、なんとか」

窓口行列の最後尾に並ぶと、家族連れやカップルが目に入る。

私たちは、どんな関係に見られているのかな。

窓口の順番が来てチケット代を払おうと財布を出すと、松崎さんに止められた。

「これがあるから、大丈夫です」

ひらひらと、カードのようなものを見せてくれる。

それを窓口に見せると、チケット二枚がサッと出された。

クライアントにもらった優待カードらしい。

「はい。どうぞ」

「ありがとうございます」

並んで待つこと数十分。入場を許されて案内されるままチケットを出して中に入った。
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