恋かもしれない
松崎さんこそ、どうなんだろう。紹介を受けているのかな。

「ぁ……の」

「さて。デザートも食べ終わりましたし、そろそろ出ましょうか」

「は、はいっ」

伝票を持ってすたすた歩いていく松崎さんを追いかけて、今度こそ自分の分を払おうと財布を出すと、また、止められた。

「俺の趣味に付き合ってくれたお礼です。綾瀬さんは外で待っていてください」

きっぱりと言われて追い出され、仕方なく外で待つ。

カランコロン、とドアベルを鳴らして出てきた松崎さんに御馳走になったお礼を言うと、どういたしまして、と優しく微笑む。

松崎さんは、誰に対してもこんな風に接するのだろうか。

緊張したけれど、いつもより少しだけ上手に話せた気がする。

これは、松崎さんの柔らかな雰囲気のせいなのかな。

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