恋かもしれない
心休まる女性? 休まるって、どんな感じだっけ? 

こんなとき、どう受け答えればいいの?

どう相槌を打てば良いの??

見つめ合ったまま沈黙が続き、松崎さんの手が、すっと動いたのを目の端に捕えた。

刹那、弾かれるように私も動く。

意味もなく本の山に手を伸ばしてしまい、焦る。

「あ、あ、あのっ、こっ、これっ、これにしますっ」

本の山の中から適当に一冊取ると、松崎さんは、それですか~と言って、唸った。

これだと、何か問題があるのだろうか。

「自分で持ってきておいて何ですが、それは中級レベルなんです。ところで、綾瀬さん。英語は出来ますか」

「いえ、全く……文法とか苦手で……成績も、良くなかったです」

「スウェーデン人は第二言語として英語が話せる人が多いんです。それは、文法が似てるからなんですが。う~ん、英語が苦手、か。それだと尚更難しいな」

松崎さんは、顎に手を当てて考え込んでしまった。

英語が出来ないのにスウェーデン語を覚えたいなんて冗談だろう、と呆れているのかもしれない。

私は、決して頭は良いとは言えない。学校の成績は可もなく不可もなく、極々普通だった。

そんな私が独学で外国語を勉強しようだなんて、やっぱり、無謀なことだ。

でも教室に通えるほど金銭的な余裕はない。
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