恋かもしれない
確か、家まで送ってくれる車の中でそう言っていた。

なので挨拶の言葉を探してみる。

どれも発音はイマイチ分からないけれど、松崎さんが言っていた通り、なんだか英語に似ている。

拙いながらも声に出して繰り返し読んでいると、スマホのバイブが鳴り始めた。

「え、も……もしや、松崎さん?」

ドキドキしながら画面を見ると『Lサポート』と出ていた。

「なんだ、佐藤さんからか」

ホッとした様な残念な様な、複雑な気持ちになる。

あ、今週末にあるお見合いのことかな? 

やっぱりキャンセルします~、なんて残念なお知らせだったりして……。

「はい。綾瀬です」

『こんばんわ~、綾瀬さん! 佐藤です~! 夜遅くごめんなさい。今お電話できますか?』

「はい、大丈夫です」

『今日お電話したのは他でもない、今度のお見合いの件です。綾瀬さん待っていたでしょう?ご連絡が遅くなってごめんなさいね。ちょっといろいろ変更がありまして、調整に手間取っていたんです。変更というのはね、今回はお相手の岩田さんが、「Lサポート」ではなく別の場所でお会いしましょうと仰ってるんです』

「え!? 他の場所で会うんですか?」
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