恋かもしれない
『ええ、そうなんです。あんまり事例がないことなんですけど、私もね、その方が綾瀬さんは緊張も少ないんじゃないかと思うの。どうかしら? いつもと違うことをしてみると、何か変わるかもしれないわ。それにね、外で会えば解放感があって、畏まらなくていいと思うの。きっと、お互いに話題も見つかりやすいわ。さすが小学校の先生ね、いい提案をなさるわ』

別の場所。たしかにそうかもしれない。

今まではLサポートのお見合い部屋だから、余計に緊張して話せなかったのかも。

だって、外で会った松崎さんとは割とお話できていた気がするし。

「はい。そのほうがいいかもしれないです」

『やっぱりそう思うでしょう? 良かったわ! あ、それで時間なんですが、十時頃でいいですか? 綾瀬さんの都合によっては時間を変えてもらいますが』

「いえ、十時なら大丈夫です。あの、待ち合わせの場所はどこですか?」

『そうそう、大事なことですよね。場所は、綾瀬さんの家の近くにして頂いたの。わかるかしら』

「……はい、わかります。そこに十時ですね。はい、行きます」

今回佐藤さんは同行できなくて、岩田さんのアドバイザーが待ち合わせ場所に来るらしい。

『綾瀬さんのお顔は知っておりますから大丈夫です!』と言っていたけれど、なんだか不安になる。ちゃんと会えるのだろうか。

学校の先生の岩田さん、優しいお方だといいな。
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