恋かもしれない
間もなく、いらっしゃいませ~!と元気な声がして、緑色のエプロンをした女性が小走りで出て来た。
席に案内しようとするのを唐沢さんが断って、お客さんでいっぱいの店内を見回している。
「あ、いらっしゃいました。行きましょう」
そう言って向かう先を見ると、左奥の窓際の席にいた男性が立ち上がってすっと頭を下げた。
プロフ写真で見たとおりの、銀縁眼鏡をかけた真面目そうな人だ。
「岩田さん、お待たせしました。こちらは綾瀬さんです」
「こんにちは。はじめまして綾瀬さん。外は暑かったでしょう。すみません、外部で会おうなどと申しまして」
岩田さんはすまなそうに言って、また頭を少し下げた。
「い、いえ、あの、そんな、頭を上げてください……このほうが、気楽で、いいです……あ、その、はじめましてです。綾瀬です、はい、こんにちは」
緊張のあまり自分でも何を言っているのか分からない。
ぎこちなく頭を下げると、岩田さんは、声を立てて笑った。
「取って食いはしませんからもっと気を楽にしてください」
「あ……は、すみま、せん」
「いえいえ、緊張はお互いさまですから」
やっぱり妙なことを言っていたのだとオドオドしている私に対して、岩田さんは優しい言葉を掛けてくれる。
今までお見合いしてきた人たちとは違う反応で、なんだか少しだけ気が楽になった。
もしかしたら、岩田さんとなら上手く話せるかもしれない。
席に案内しようとするのを唐沢さんが断って、お客さんでいっぱいの店内を見回している。
「あ、いらっしゃいました。行きましょう」
そう言って向かう先を見ると、左奥の窓際の席にいた男性が立ち上がってすっと頭を下げた。
プロフ写真で見たとおりの、銀縁眼鏡をかけた真面目そうな人だ。
「岩田さん、お待たせしました。こちらは綾瀬さんです」
「こんにちは。はじめまして綾瀬さん。外は暑かったでしょう。すみません、外部で会おうなどと申しまして」
岩田さんはすまなそうに言って、また頭を少し下げた。
「い、いえ、あの、そんな、頭を上げてください……このほうが、気楽で、いいです……あ、その、はじめましてです。綾瀬です、はい、こんにちは」
緊張のあまり自分でも何を言っているのか分からない。
ぎこちなく頭を下げると、岩田さんは、声を立てて笑った。
「取って食いはしませんからもっと気を楽にしてください」
「あ……は、すみま、せん」
「いえいえ、緊張はお互いさまですから」
やっぱり妙なことを言っていたのだとオドオドしている私に対して、岩田さんは優しい言葉を掛けてくれる。
今までお見合いしてきた人たちとは違う反応で、なんだか少しだけ気が楽になった。
もしかしたら、岩田さんとなら上手く話せるかもしれない。