恋かもしれない
「あ、あの……岩田さんは、何年生の、受け持ち、なんですか？」

「五年生です。僕の専門は体育で、部活はサッカーの顧問をしています。今日は綾瀬さんにお会いするために、部活を休みにしました。今日お会いするのを楽しみにしておりました。プロフィール写真で拝見した以上にお綺麗で、僕は今、かなり舞い上がっているんです」

はっきりと言ってまっすぐに見つめてくるから、どう答えていいのか分からなくて、じんわりと汗が出てくる。

それに綺麗だなんてお世辞が上手すぎる。

学校の先生って、みんなこんなに饒舌なのだろうか。

「え……あの、それは、すみません」

どこに目を向けていいのか分からなくて俯いていると店員さんがテーブル横に来た。

俯いている視界の隅に、アイスティーと大きな編みかごが映る。

「え、編みかご？？」

「さあ綾瀬さん。食べましょう」

促されて視線を上げてみれば、予測以上のものがそこにあった。
< 78 / 210 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop