恋かもしれない
「ええ、ま、松崎さん!? なんで?」

驚きのあまり体温が一気に上昇する。

さっきまでへこんでいた気分が一気に吹き飛んでしまった。

ラインで繋がって以来、昼間に連絡をくれるなんて初めてのことだ。

しかも、名前の下に『ビデオ通話着信中』なんて文字が出ている。

ビデオということは、出れば松崎さんの顔がリアルに見えるということで、私の顔も相手に見える筈で。

「う……」

画面の下部には「応答」の他に「カメラをオフにして応答」もある。

けれど、カメラをオフにすると失礼になるのではないだろうか。

どうしようかと迷っているうちにも着信のバイブは鳴り続け、このままでは切れてしまいそうだ。

崩れかけているとはいえメイクをしていて良かったと心底思いながら震える指で応答を選ぶと、松崎さんの顔が画面いっぱいに現れてスマホをガン見してしまった。

だって外が暑いのを忘れてしまうほどに涼しげな目をしていて、すごく綺麗な肌で素敵なんだもの。

実際に会えば直視できないけれど、スマホ越しなら……。

でも左上に自分の間抜けな顔が出ていることに気付いて、最大限にスマホを遠ざけた。

自分の顔が少しだけ小さくなったのを確認してホッとすると、スマホの向こうからガヤガヤと騒がしい声が聞こえてきた。松崎さんは外にいるみたい?

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