恋かもしれない

「最初から結婚相手と見ずに、まずはお友達から徐々に始めて、ゆっくり進めていってはどうですか？　お話して岩田さんのことを知っていけば、そのうちに恋心が芽生えてくるかもしれません！　そうしたら、不安なんて吹き飛んでしまいます！」

佐藤さんは自信たっぷりな感じではっきりと言う。

そういうものなのだろうか。

今何とも思っていなくても、会ってお話していれば自然と恋心が生まれてくるのだろうか。

私、本当に恋ができる？　憧れじゃなくて、本物の恋ができるの？　

そうしたら、この胸のモヤモヤも取れるのかな。

「綾瀬さんが寿で退会されるまで、この佐藤は、とことんお付き合い致しますよ！」

悩みも不安も全てどーんと頼ってくださいと、佐藤さんは自身の胸を叩いて、人懐っこい笑顔で言う。

本当に、頼れる親戚のおばちゃんみたいで気分が軽くなってくる。

この人に何でも相談すればいいのだ。

そうだ。岩田さんと会ってお話してみて、自分なりに胸のモヤモヤの正体を探ってみよう。

そして、すっきりと雲を晴らすのだ。

「はい、じゃあ、よろしくお願いします」