もしも 願いが叶ったら

着いたお店は絶対に自分からは入らないような高級料理店。
完全に場違いなあたしは、ナイフとフォークの使う順番もわからくて、
緊張しっぱなしだった。


「そんなに硬くなることあれへん。こんなもん適当でええんや。」


彼はそう言うと、音を立てながら食べ始めた。
あたしをリラックスさせようと。
そんなさり気ない優しさが嬉しかった。


それからは、話もはずんで家族のことお芝居について、
趣味とかいろんな話で盛り上がった。
楽しい時間ってあっと言う間で、食事は無事に(?)終わった。


「家まで送るよ。」


と言われホテルまで送ってもらうことにした。
上京したてだから、まだ部屋が見つかってないことにして。


「早く部屋見つかるとええな。落ち着かんもんなぁホテル住まいは。」


「そうだねぇ。」


「今日はホンマに楽しかったなぁ。かなえちゃんがむっちゃええ子で安心したわ。」


「そんな。あたしええ子ってほど若くないよ。」


「いくつ?」


「もうすぐ28。」


「ホンマに!?見えへん。むっちゃ若いやん。」


「そんなこと言ったってなんにもでないよぉ。」


「いやいや、本心やて。」


「はいはい、ごちそうさまでした。おやすみなさぁい。」


「あっ待って!メアド教えてへん。
もし嫌じゃなかったら、あとでココにメールして。
迷惑やったらええから。ほなな。」


やったぁメアドGET~~~~~~!!!



< 10 / 27 >

この作品をシェア

pagetop