影を拾った太陽

これ以上私と仲良くしたら女子がどんどん嫌がらせをエスカレートさせていくんだよ?




それとも、面白半分?
私がいじめられているのが楽しくて、声をかけてくるの?
考えが歪んでいるせいか、皮肉っぽいことを考えてしまう。




「今、光凛ちゃんのこと話していたの誰?」





成瀬くんの冷たい声にクラス中の女子の体が強張る。
もしかして、怒っているの?





「さっき、光凛ちゃんの悪口言っていたよね?誰?」





どんどん冷たくなる成瀬くんの声に、教室中が沈黙に包まれる。
横にいる私も成瀬くんの声に、思わず何も言えなくなってしまった。





「わ、悪口なんて……わ、私たちはただ……」





さっき悪口を言っていた女子の一人が、声を震わせながら言った。





いつもならニコニコしている成瀬くんが明らかに怒っている顔で、睨んでいるんだもん。
声が震えて当然だよね。




「ただ何?」




「あ、綾瀬さん、に、思っていることを言った、だけ、で……」





女子が話す中、成瀬くんはゆっくりと近づいて行く。
今にも殴りそうな勢い。
ちょっと、ヤバくない?
流石に暴行はシャレになんないって!




「へぇ。光凛ちゃんのことそんな風に思っているんだ。俺さぁ、人の悪口言う女の子嫌いなんだよね。俺と関わるのウザいってことはさ、光凛ちゃんと仲良くしている俺もウザいって言っているのと同じだよ?」




な、成瀬くんこの状況で壁ドンなんて、怖すぎるよ。




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