影を拾った太陽
綾瀬が来なくなった日から、何故か藤宮が空き教室に来るようになった。
拒否るのも面倒臭くなって、適当にあしらっていた。
藤宮が話すことと言えば、お弁当を作るのに早起きしたとか友達と買い物に行ってブランド物の服を買ったとか、そういう話ばかり。
早起きしたとか言われても困るし、ブランド物とか言われても分かんねぇしどうでもいい。
なんか綾瀬が来なくなってから、毎日がつまんねぇな。
「ねぇ、叶斗くん。話聞いている?」
最近仲良くなったと勝手に思っているのか、俺のことを下の名前で呼んでくる。
許可したわけじゃねぇのに、勝手にそういうことすんなよな。
「あぁ」
聞いているわけねぇだろ。
好きでもない女のお買い物情報とか、何時に起きたとかどうでもいいし。
「でね、由美子がさぁ、ピンクの方が似合っているって言うの。この歳でピンクなんてちょっと恥ずかしくない?」
由美子って誰だよ。ピンク似合うって言ってんならそれ着てりゃあ良いだろ。
「ねぇ、叶斗くんはどう思う?ピンクのスカート似合うと思う?」
「似合うんじゃねぇの」
綾瀬ならもっと似合うものを考えたんだろうけど、好きじゃない女がたとえどんなに似合わない格好をしていたってどうでもいい。
光大みたいに世の中全ての女に綺麗でいて欲しいなんて、思ってねぇし。
「じゃあ、今度の日曜日見せるね。ピンクのスカート」