影を拾った太陽


四人でそれぞれチケットを買って、中に入って行った。



私のお願いなんて予想通りいらなくて、愛依は桐ヶ谷くんをあっちこっちに引っ張って私と成瀬くんは二人と自然と別行動になった。



「どうする?せっかくだし、俺らだけで周る?」



気を遣ってくれているのか、成瀬くんは優しく笑った。



告白してくれた人の前でこんなに桐ヶ谷くんのこと考えて、凄く最低なのに……。
成瀬くんは私のどういう所を好きになったの?



「光凛ちゃん?」



答えない私に、成瀬くんが不審な顔をしているのが顔を見なくても分かった。



今頃、桐ヶ谷くんは愛依と仲良くデートしているのかな。ジェットコースターに乗って一緒に手挙げて笑ったり、コーヒーカップで回りすぎて目回って大丈夫って言ったり、観覧車に乗って二人きりになって……。
そんなことあるわけないって思っても、どうしても想像しちゃう。
自分で自分を追い込んで、胸が痛くなる。
バカみたい。勝手に想像して、勝手に胸が痛くなるなんて。




「成瀬くん、周ろ。あの二人に負けないくらい、思いっきり楽しもう!」



良いよね。一日くらい。
成瀬くんにとって良い返事は返せないけど、今日くらい成瀬くんの気持ちを利用したって。
じゃないと、心臓が潰れそうだよ。



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