影を拾った太陽
桐ヶ谷くんに作ったお弁当と、お母さんに作ってもらった私のお弁当を持って、空き教室に来た。






今日もここにいる保証なんてないけど、ここ以外で会うところないから。






「まだ、来てないのかな」





教室に着いて辺りを見回すと、誰もいなかった。










机の山の中を見てみても、誰もいない。





桐ヶ谷くんはまだ来てないみたい。
まさか、昨日あれだけ人のこと挑発しておいて来ないなんてことないよね?






「遅いな」






愛依と少し話してから来たから、結構時間は経っているのに。




桐ヶ谷くん、もしかして今日は来ないつもり?





「お前がおせぇんだよ」







突然どこかからか聞こえてきた声に、とっさに振り返った。







教室のドアの所で背中を預ける桐ヶ谷くんの姿があった。







今来たくせに、文句?






「俺、ずっと校舎の入り口の前で待っていたんだけど。お前気づかずに中入ってくし、挙句俺が遅いことになっているし。マジで勘弁しろよ」






え、え?




話についていけないんだけど。






というか、ツッコミどころ満載だよ。
校舎の入り口の前で待っていたって、誰を?
もしかして私?





え、何で?
そんな所で待つ必要あるの?
どうせ空き教室で会うんだし、ここで待っていれば良いのに。





だけど、私のことを待っていてくれたのかと思うとちょっと嬉しい、かも。






「あ、勘違いすんなよ。お前が逃げたらぶん殴ってやろうと思って待っていただけだから」







あー、うん。
そうですよねぇ。












この意地悪で性格悪い男が、見ず知らずの私のことなんか待つわけないよね
期待した私がバカだったよ。






「で、飯は?」





こっちの気持ちなんてお構いなし、か
まぁ、最初から構ってもらおうなんて思ってないけど。



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