影を拾った太陽
放課後。
桐ヶ谷くんが待っている校門へ向かう途中、何気なく携帯を見た。
こんなに堂々と携帯を見ちゃうなんて、私もちょっと不良の影響受けちゃったかな。
「え……」
下駄箱で靴を履き替えながら、携帯を見ていたら一通のメールが入っていた。
「どうしたの?」
一緒にいた愛依にも携帯の画面を見せた。
『ほんとにごめん、急用で一緒に帰れなくなった』
全然当たり前のメールなのかもしれない。
付き合っている人でも、急用で一緒に帰れないなんてざらにあるのかもしれない。
だけど、何故か言いようのない不安に襲われた。
だって“また明日”とか“また一緒に帰ろう”とかもなかったから。
考えすぎなのかもしれないけど、もう桐ヶ谷くんと会えないようなそんな気がした。
「そんなに気になるんなら、成瀬くんに聞いてみれば?」
「成瀬くん?」
桐ヶ谷くんの親友の成瀬くんなら、何か知っているのかな。
でも、私でもよく分からないことどうやって聞けば良いの?
「今日一緒に帰ろうと思っていたから、三人で帰ろうよ」
え、それって私が桐ヶ谷くんと帰っていたら成瀬くんと二人で帰っていたってことだよね?
だ、ダメだよ!他に好きな人がいるのに!
「愛依!好きな人がいるんなら、その人にまっすぐでいなきゃ!」
可愛い愛依がそんなことしていたら、男の子はすぐその気になっちゃうよ!
「はぁ。ほんと鈍感」
激しく腕をゆすると、ため息を吐かれた。