影を拾った太陽
何かおかしなこと言った?
「私が好きかもって今思っているのは、成瀬くんなの」
「え、えぇ!?」
そ、そうなの!?
気が付かなかった!だって、そんな素振り全然なかったもん!
そういえば、今朝愛依が見ていた男子の束の中に成瀬くんもいたような……。
でもそれだけで成瀬くんが好きな人だなんて、絶対気づかない!
「うるさい!本人に聞こえるでしょ!」
「ご、ごめん」
そっか。愛依は成瀬くんが好きなんだぁ。
二人、上手くいくと良いな。
結果的に、私は愛依の気持ちも成瀬くんの気持ちも裏切ったから。
それにまだ、成瀬くんにはっきり私の気持ち言ってないし。
「どうしたの、光凛ちゃん。そんなに大きな声出して」
男子の下駄箱の方から、ひょいっと顔を出した成瀬くん。
い、いきなり出てこないでよ。
「な、何でもない!」
愛依が好きなんだって、とか言えるわけないし。
それに人の気持ちをそんなに軽く言うなんて、無神経だよね。
でも、だとしたら私二人にとって邪魔じゃない?
「愛依、やっぱり私一人で帰って……」
「ねぇ、成瀬くん。さっき光凛に桐ヶ谷くんからメールがあって、急用で一緒に帰れないって書いてあったんだけど、その急用何か知っている?」
め、愛依ぃ!?
いきなり聞くなんて直球すぎるよ!
それにまだ心の準備が……。
「あー、あいつそう言ったんだ」
まるで何か知っているかのように、言う成瀬くん。
何?何か深刻なことなの?
「光凛ちゃん。今から言うことよく聞いて。多分、辛いだろうけど」
口調は優しいのに、真剣な表情の成瀬くんに思わず体が強張る。
一体、何を言われるの?
「叶斗、学校辞めるよ」