影を拾った太陽
凄く嫌な予感がした。
これが、桐ヶ谷くんのメールから感じた不安と繋がっている気がして。
心臓が大きく脈を打ち始める。
不安と恐怖で押し潰されそう。
「卒業したら、アメリカに行って医療の勉強をしてくること。でも、それが……早くなったみたい」
「そ、それって……」
まさか、桐ヶ谷くん、アメリカに?
嫌だよ。まだ告白だって……言いたいこと何も言えてないのに。
「今日十九時の飛行機でアメリカに発つらしい」
「そんな……!」
嘘だよ。だって昼休みまで普通だったのに。
また明日も作ってくれるよなって笑ってくれたのに。こんなの……。
「成瀬くん、バイク出して」
今まで黙っていた愛依が成瀬くんに言った。
「何しているの光凛!呑気に突っ立っている場合じゃないでしょ!今すぐ空港に行って、桐ヶ谷くんに気持ちぶつけといで!もう一生会えなくなっても良いの!?後悔するよ!」
「愛依……」
嫌だ。
嫌だ。
このまま会えなくなって、もう気持ちを伝えられないなんて嫌だ!
「光凛ちゃん、乗って!」
成瀬くんが持ってきたバイクに、急いで跨った。
その瞬間、バイクは勢いよく走りだす。
お願い、桐ヶ谷くん。
行かないで!