影を拾った太陽

六年前。



私、綾瀬光凛と桐ヶ谷叶斗は出会った。
最初は完全な不良の彼に怯えるばかりで、嫌悪感しかなかった。



でも、色んな彼の一面を知っていく度にどんどん惹かれていった。そして、いつの間にか好きになっていた。
彼の笑顔が見たくて、慣れない料理だって必死にやった。彼の影響でオムライスが大好きになった。
オムライスを食べる度に、彼の嬉しそうな笑顔を思い出す。



この五年間、会えなくて寂しかったけど、それと同じじらい彼に会うために頑張ろうって思えた。絶対乗り越えられないって思っていたのに、彼に会いたい一心でこの日を夢見て頑張った。




やっと会えるんだ。私達の始まりの場所で。



「誰だ、お前」



そう。六年前、この言葉で私達は……



「え!?」



今、机の山の中から聞こえたよね!?
ゆ、幽霊?


って、この歳になってそんなの信じているとか痛いって。



それに、この声……



「ふっ。あの時と同じ顔」



五年も経つのに、あのイタズラっぽい笑顔は何も変わっていなかった。



また会えた。私達、また会えたんだ。



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