影を拾った太陽
その声が聞こえた瞬間、私の髪の毛を掴んでいた女子の手が離れた。


痛さに耐えながら、女子と同じように声のした方を向いた。


そこには何故か桐ヶ谷くんがいて……私をいじめていた女子たちを睨んでいた。



無表情で不愛想だけど、今まで女子を睨んだことはなかったから、女子達は凄く怖がっていた。
もちろん、私だって……。




でも、どうしてだろう。
桐ヶ谷くんが来て、女子達を睨んでいるのが凄く嬉しい。




桐ヶ谷くんが守ってくれているって思うと、心臓が大きく脈を打つ。



「こ、これは、その……」




たじろぐ女子達を無視して、桐ヶ谷くんはこっちに向かってくる。




そして、私を立ち上がらせてくれた。



何で……何でそんな優しい顔するのよ。



どうして、いつもみたいにからかって来ないのよ。



こんな時に優しくしないでよ。




「俺、こういうの嫌いだから。今後、見つけたらただじゃおかねぇ」




桐ヶ谷くんがまた睨むと、ついに何も言えなくなったのか女子達は黙り込んで体を震わせていた。




そして、桐ヶ谷くんは私の腕を引っ張って歩き出してくれた。




私、桐ヶ谷くんに助けられたんだ。



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