影を拾った太陽
桐ヶ谷くんに引っ張られて、そのまま空き教室にやって来た。
体が震えてきて、言葉が何も出てこない。
髪の毛を掴まれていた時は怖くなかったのに、今更になって恐怖が襲ってきた
桐ヶ谷くんが来てくれて、安心したのかな。
体の震えが止まらない。
「おい」
まだ髪の毛に、掴まれていた時の感触が残っている。
掴まれていたのは髪の毛だけなのに、まるで脳を掴まれたみたいに痛い
どうして、今になって恐怖が押し寄せてくるの?
「呼んでんだから、答えろよ」
「いたっ」
突然、おでこを小突かれて少し痛みが走る。
でも、その痛みは女子に髪の毛を掴まれた痛みとは違っていて、何だか暖かいものだった。
こんな痛さを感じない痛みもあるんだ。
「お前さ、今朝のあれ何?」