影を拾った太陽
何も言えずただ引っ張られて校門までやって来た。




そこにはバイクが停められていて、桐ヶ谷くんはそれに颯爽と乗り込む。



こんな所に停めておいて、よく先生にバレなかったな。いや、もしかして見て見ぬふり?この学校の先生ならありえるかも。



いつも、保護者にビクビクしているし女性教師に関しては、桐ヶ谷くんと成瀬くんのファンだっていう人もいるし。



「何してんだよ。早く乗れ」



「へ!?」



わ、私がバイクに!?




無理無理!だって、バイクとか怖いし!いつも道中でバイクに乗る人を見ていて、よくあんな怖い乗り物に乗られるなって思っていたほどだよ!?



そんな人がバイクなんて乗れるわけないよ!



「安心しろ。人乗せるの慣れているし、免許持ってねぇから」




ん?最後なんて言った?



免許持ってない?それのどこに安心しろと!?不安が倍増したんですけど!



「今まで事故ったことねぇし、乗せるやつら全員に安全運転だねって言われているから、大丈夫だよ」




その時、ふと思った。
もしかして、今までこのバイクの後ろに女の子を乗せたことあるのかなって。
こんなこと、どうして思うのか分からないけど。




「桐ヶ谷くん、今までどんな人乗せていたの?」




気が付くと、思わず口をついて出ていたその言葉。




別に何の脈絡もないよ。ただ聞きたくなったっていうか、少し気になっただけなんだから。



「どんな人って、主に光大だな。あとは不良仲間とかたまに喧嘩して舎弟になった奴とか」




ってことは、女の子は乗せてないんだ。何故か心の奥でほっとした。
私、なんかおかしくない?




「ほら、早く乗れ。先公に見つかったら面倒だろ」



実際に先生のこと『先公』って言う不良、いるんだ。




クスッと笑うと、桐ヶ谷くんにさっきみたいにおでこを小突かれた。







桐ヶ谷くんにこれされるの、嫌じゃないな。
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