影を拾った太陽

「どうした?」




え、何で?




ガチャガチャ





何で、ドアが開かないの?
私、鍵なんてしてないよ?





「はぁ。あいつ……やりやがった」




「え、あいつって?」





後ろでため息を吐く桐ヶ谷くんが気になった。




携帯を見ながら、何故か頭を抱えている。




「とにかくここから出る方法探すぞ」




「でも……」




探すって言っても、ここ二階だから窓から出られないし。





通気口も小さいし、人間が通れるような広さはない。





か、完全に密室だよ。







「しゃあねぇな。誰かが来るまで待つしかない」






さっきは脱出する方法を探す気満々だったのに、通気口や窓を軽く調べて地べたに座り込む桐ヶ谷くん。






いや、諦め早くない?





それに、こんな所誰も来るわけないじゃん!





本校舎からは楽しそうな活気溢れる声が聞こえてくる。





それに引き換え、今私たちがいる場所は驚くほどに静かで、まるでこの場所だけ取り残されたみたい。





何でこうなったの?




ただ桐ヶ谷くんに会いたかっただけなのに。





教室のドアの鍵、閉めたの誰よ。





「お前も座れよ。突っ立ったままじゃ、足痛くなるぞ」





「うん……」





閉じ込められたのに、どうしてこんな冷静でいられるんだろう。





助かる見込みがあるとでも思っているのだろうか。絶対ありえないのに。




あ、そうだ!
携帯!


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