影を拾った太陽
携帯で桐ヶ谷くんに誰か呼んでもらえば、きっと助けに来てくれる。




私じゃあ、人望ないし。



「桐ヶ谷くん、電話してよ！成瀬くんとか！助けに来てくれるはずだよ！」





横に座った瞬間、桐ヶ谷くんに言った。




でも、首を横に振られた。





そして、携帯の画面を見せられた。





「さっき急に圏外になった」





「え、嘘！？」




慌てて見せてくれた画面を確認すると、確かに画面の上の方に圏外を示すマークが出ていた。




嘘、でしょ。




何で……。






だって、さっき桐ヶ谷くんいじっていたし、ここで私も何度かいじったことあるけど電波良いよ？





そんな急に圏外になることなんて、あるの？





「多分、光大だよ」




「え？」





突然成瀬くんの名前が出てきて、思わず聞き返す。





成瀬くんが何かしたの？




「あいつに言われて来たんだろ？」




「う、うん」





どうして桐ヶ谷くんがそのこと知っているんだろう。





って、じゃあもしかしてここに来た理由も知っているのかな。





「さっき光大からメール来て。『もうすぐ光凛ちゃんがそっちに行くからよろしく～』って。どういう意味だって返事しようとしたら、圏外になった」




「えっと、つまり……どういうこと？」





何故かは分からないけど、成瀬くんが桐ヶ谷くんに私が桐ヶ谷くんの元に行くのを伝えたということは分かった。



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