影を拾った太陽
そ、それは予想外だった!
あんな大きな病院の院長って、かなり凄くない!?
「そんな驚くことか?」
「そ、そりゃ驚くよ!」
クリニックとかならまだしも、あんな大きな病院の院長なんてビックリだよ!
そういえばよく見てなかったけど、あの病院の名前『桐ヶ谷大学病院』だったような。
だから、桐ヶ谷くんは病院内をあんな慣れた感じで歩いていたし、看護師さんとかお医者さんとかも桐ヶ谷くんに挨拶していたんだ。
「ふっ。まぁ、初めて聞く奴は驚くよな。光大に言ったときもかなり驚かれたし」
「当たり前だよ」
誰だって驚くに決まっているよ。
でも良いなぁ。親があんな大きな病院の院長なら、将来安泰だもんね。
「じゃあ、桐ヶ谷くんは将来お父さんの跡継ぐの?」
桐ヶ谷くんがお医者さんなんて想像できないけど、お父さんがお医者さんならその跡を継ぐってことだよね。
考えなくても将来が決まっているって良いなぁ。
私は、将来何をしたいのか何をすれば良いのか分からないから。
「……さぁな」
あれ、何今の間。
聞いちゃいけないことだったかな。
その後はまた沈黙が訪れて、駅で桐ヶ谷くんと別れた。