影を拾った太陽
予想通り、校舎裏に連れて来られた。
やっぱり。マンガでよく見る女子のリンチだ。
でも、予想と違うことがただひとつ。
それは
「愛依……?」
校舎裏で待っていた女子数人の中に、愛依がいたこと。
何で?
ドサッ
「あんたさぁ、調子乗らないでくれる?」
「っ!」
愛依の前に投げられ、髪の毛を掴まれた。
髪の毛を掴まれている痛みよりも、この場に愛依がいることの方が気になった。
どうして、ここにいるの?
それにどうして何もしてくれないの?
「昨日、愛依が見たんだってさ。あんたと桐ヶ谷くんが手を繋いで学校出て行くの。しかも旧校舎の方から出てきたって」
昨日?
あ、桐ヶ谷くんを病院に連れて行ったときだ。
別に手を繋いでいたわけじゃないけど、遠くからだとそう見えちゃったのかな。
愛依はそれに怒っているってこと?
「あんたさぁ、昨日ずっといなかったよね?成瀬くんに受付押し付けてさ。その間、ずっと桐ヶ谷くんといたわけ?ふざけんじゃねぇよ!」
「いたっ!」
女子に髪の毛を勢いよく離されて、体が思い切り地面に叩きつけられる。
こんな衝撃あるんだ。
思わず声を漏らしちゃったけど、あまり痛みを感じない。