影を拾った太陽
ここから出て行った男の子って、もしかして桐ヶ谷くん?
ニヤニヤしながら私の答えを待つお母さんに、思わず心臓が跳ねる。
か、彼氏じゃないけど……ど、どう言えば良いんだろう。
「あ、いや、えっと、か、彼氏じゃないけど……」
「けど?」
未だワクワクした目で私を見るお母さん。
そんな目で見ないでぇ。
「と、友達、かな」
「へぇ?」
もう、何よその反応。
確かにいつかそうなれたらなって思っているよ?
でも、無理だもん。桐ヶ谷くんみたいな人が、私を好きなわけないし。
傍にいてくれたのだって、ただ友達として心配してくれただけだろうし。
そう思わないと、多分この先やっていけない。
変に期待して、裏切られた時凄く辛いから。
だから、もし愛依と付き合うことになっても心から祝福できるような人にならなきゃ。私の気持ちなんて、どうせ叶わないんだし。
だったら、もうどうせ相手に気持ちなんてないんだから期待なんてしちゃダメだよって自分に言い聞かせて生きるしかないんだ。
「さっき先生に聞いたらね、もう退院できるって。帰りましょうか」
「うん、そうだね」
できれば、明日も入院して学校休みたかったな。