ユルトと精霊の湖
「おまえがいては、ゆっくりできん」
引き止めるように言う、青年の王にそっけなく言い放ち、ふわり、と浮き上がった小さな王は、あっという間に巨木の先端近くまで跳び、枝葉の間をすり抜ける風のように遠ざかって行った。
二人仲良く一対の木の実のように、いつも離れずに過ごしたのは、ほんの数十年の間だけだった。
長じるにつれ、双子の王はそれぞれの性質を持ち、それぞれに行動するようになった。
それを寂しく思ったのは、自分だけだったのだろうか?
遠ざかっていく気配を感じながら、青年の王は思う。
しばらくの間、別に過ごしている片割れの様子を窺うのは、新しい遊びのようで、とても楽しいものだった。
他の精霊達とは違って、王の樹を通して見るのは、様子を知るだけではない。
一方が見た景色、感じた匂い、考えたこと……全てをまるで、相手の中に入っているかのように感じることができる不思議な感覚。
それを見つけたのは……もしかすると、自分の方だったろうか。
最初は、それを2人して面白がっていた。
けれど、いつからだろう。
なぜ2人なのか?と考えるようになった。